2009年最後となった第20回ウエディングビジネスアカデミー(WBA)は、120分の拡大版。「IT活用のプロフェッショナルが語る、事例と実践から学ぶネット集客最前線」と題し、3人(東京会場は4人)の講師をお迎えして行なわれた。
ネット集客における自社サイトの改善ポイントや、ネット活用の運用体制、そして最新のネット事情について、各方面のスペシャリストが、事例をもとに講演を行なった。受講者にとっては、ネット集客の最新トレンドや今後の動向をつかみ、来年度へ向けて新たな戦略を立てる好機となる内容となった。
ネットマーケティングに関する2010年のキーワードは「ソーシャルメディア」であるとした舘田智
講演はまず舘田氏による、「来年に向けたネットマーケティング」についてのプレゼンテーションから始まった。テーマは「ソーシャルメディア」。2009年のトレンドの最大の特色として、コンテンツの双方向性が顕著になったことを挙げた舘田氏は、「ソーシャルメディア」というキーワードが2010年のテーマとなると指摘した。
つまり、09年に爆発的にヒットしたツイッターに代表されるソーシャルメディアが、マスメディアとともに情報発信の片翼を担うという。従って今後は、企業は消費者の声をソーシャルメディアから拾うことが非常に重要となり、この認識の有無で会社の方向性が変わる。
まずはソーシャルメディアの実態をみて、10年のネット集客に活用してほしい、と舘田氏は結んだ。
「ユーザ中心アプローチ」によるサイト改善のノウハウを解説した遠藤直紀氏
続いては、(株)ビービットの遠藤氏が登場。講演テーマは、「成果を上げる! デジタル時代のユーザ中心マーケティング戦略」。今後のサイト運営においては、「ユーザ中心アプローチ」が欠かせないとの視点から、各種の事例をもとに、サイト改善のノウハウが解説された。
まずはユーザ中心アプローチによる成功事例が紹介され、その必要性とユーザビリティの考え方が解説された。最初に具体的な改善例が挙げられたことで、「ユーザがどのようにサイトを閲覧し、必要な情報を収集し、購入の意思決定を行なうか」を、受講者は確実に理解したようだ。
さらに、「ユーザ中心アプローチ」のエッセンスとして、成功事例の共通点から導き出された「ユーザ中心設計手法」も紹介された。これは、「ユーザターゲティング」「ユーザシナリオのデザイン」「意見を聞かないユーザ調査」が三つの柱となる。
「意見を聞かないユーザ調査」とは、ユーザの本音を引き出すために、ユーザの行動を観察するというもの。ユーザの行動に即したサイトを構築すれば、サイト集客の効果も上がりやすい。これはユーザ中心アプローチの肝ともいえるだろう。
投資効率267%という効果を上げたサイトリニューアルプロジェクトについて語った金増宏輝氏(右)と石関太朗氏(左)
最後に講演を行なった(株)クオリティコンサルティングの石関太朗・金増宏輝の両氏は、(株) Plan・Do・Seeのサイトリニューアルを遠藤氏に依頼し、同時に集客プロジェクトと受注増プロジェクトを実践した。このプロジェクトは投資効率267%という効果を上げたが、この際の戦略が今回の講演で解説された。
まずはプロジェクトチームを発足する際の意思決定機関の置き方や、実践チームの配置などから戦略を立てる重要性が説かれ、続いて実際の動きの詳細が解説された。ステップとしては、ホームページ以外の紙媒体の分析と整理(コストカット)、接客現場の受注生産の仕組みの精査、受注プロセスの見直しの3段階となる。
詳細については、数々のポイントが列挙されたが、両氏はこれからなすべき最初にして最重要のタスクは、「わくわくする命名をして、プロジェクトチームを発足すること。そして走り出すこと」と、講演を結び、受講者を励ました。
(取材・文 北 千代)