親しみやすい語り口で、登場時から受講者の心をつかんだ柳氏。

今回は、レストランウエディングを新たに導入しようという受講者が多かったこともあり、日本でのウエディング事情を解説するところからセミナーが始まった。

少子高齢化と同時に、ウエディングスタイルのカジュアル化も進む中、一見、ウエディング市場の縮小が危惧される現状を解説しながらも、柳氏は「今後、レストランウエディングを導入する店にも勝機がある」と語り、会場の受講者を安堵させた。

今や首都圏では結婚披露宴を行なうカップルの割合は50％近くとなった。にもかかわらず「レストランウエディングに勝機がある」という根拠が解説された点は、セミナー前半の山場だったといえる。
「披露宴を行なわない」カップルは、「一度きりのことに大金をかけるのはもったいない」との思いが根底にあるというのが、柳氏の分析だ。しかしながら、その「もったいない」の矛先は、会場、花、ドレス、写真、音響、司会、印刷物、演出などに向けられている。

「こだわりたい部分以外は不要であり、そこに大金を使いたくない」というのが、カップルの本音だと柳氏。その一方で料理や飲み物は不可欠だと、どのカップルも考えているという。だからこそ、料飲を専門とするレストランに強みがあると柳氏は解説した。

続いてレストランウエディングの予算の算出や、カップルのふところ具合など、実務的な知識が解説された。 レストランウエディングの場合、一般的な事例に照らし合わせると、料理は1万2000円、飲み物が4000円、それにケーキが1000円。一人当たり1万7000円程度の売り上げが見込める。ここから年間の目標組数を導き出せばよいというのが、柳氏のレクチャーだ。

また講演後半は、主に集客と接客についてのポイントに的を絞って語られた。

現状、ほぼ100％のカップルが会場選びにネットを用いることから、ウエディングのページの開設は必須。その際にはブログによって定期的に更新すること、検索ワード対策をすることの重要性も強調された。
ブログは、受講生も頭を悩ませている様子が見受けられ、セミナーの最後に行なわれた質疑応答でも、より突っ込んだ質問が寄せられた。

専門のプランナーがいない会場にとっては、営業、打ち合わせや当日の施行も不安材料となることだろう。この点についても柳氏は、策を授けた。
要旨を紹介すると、「レストランウエディングを選ぶカップルのこだわりは料理にあるのだから、他の客層に対するのと同様に、料理について語ることが最良の営業である」「花嫁が自分で具体的にプランニングしているケースが多いので、スタッフはカップルの指示に従い、笑顔で手配をすればOK」「施行当日もいつもと同じようにサービスすればいい」「要望に対し顔が曇っただけでカップルの気持ちを損ねるので、NOと言わないことを心掛ける」とのこと。

雑誌媒体への掲載を一切せず、ネットを最大限に活用して成功した、実際のウエディング事例も紹介。今まさにレストランウエディングに乗り出そうとしている受講者諸氏の意欲と自信も喚起する内容となった。

（取材・文 北 千代）