本誌主催の「第2回ウエディングビジネストップセミナー」が、去る9月24日(大阪)、10月1日(東京)に開催された。
テーマは「集客革命」。

業界をリードする4組6人の講師が、それぞれの立場から新しい時代の集客戦略を語ったセミナーの一部を紹介します。

「指名されるウエディングプランナーになるための7つの具体例」
中谷彰宏氏/作家

集客における発想法の転換を中心に語った中谷氏。
本当にオリジナリティーのある結婚式を行なっていれば、黙っていてもお客さまは集まってくる。
では、いかにしてオリジナリティーある結婚式場になるのか。
それに必要な要件として、お客さまの潜在ニーズを見抜けるセンスや、たくさんの引き出しとともに、
モチベーションの高さやフットワーク、そして勇気を持ったプランナーの存在を挙げた。

例えば水中結婚式。
海の中に海底神殿をしつらえ、新郎新婦は酸素ボンベを背負ってクライマックスは誓いのキス。
とても夢のある、スキューバダイビングが大好きなカップルにはたまらないオリジナルウエディングだが、
これをお客さまが望むとき、「おじいちゃん、おばあちゃんはどうするのか」という否定的な声が必ず出てくる。
しかし、「孫の結婚式以来、スキューバにはまった」というシニアエイジが出てきてこそ、
本当のオリジナリティーではないか。


あるいはヌーディストクラブで裸の結婚式をしてみたい、車いすのカップル同士が、
海外挙式をしてみたいと思う。
「お客さまがいない」とマーケットのせいにするのではなく、決してマイノリティではない
これらのニーズを持つ方々が、世の中にはたくさんいるんだということに気付くべきと、中谷氏は指摘した。

中谷 彰宏 氏
また、こういう時代に求められるプランナー像というものは、頭のよさではなく、それらの個性的な希望をくみ取り、
新郎新婦と一体となって腹をくくれるプランナーだとも語った。

普通のウエディングをするならば、パソコンソフトでできるので、プランナーはいらない。
だから今後は、「一見困難だが、それをやってみよう!」とする勇気と度胸こそが、プランナーにとって
必須の資質となっていくのではないだろうか。
オリジナリティーあるウエディングを年間1組だけでも行なう結婚式場は、営業と宣伝は一切必要ない。
こんなことを実現しましたという告知だけで集客はできるものだ。
中谷氏は、そうした方向転換をするために、総支配人や社長の意識を変えていくことも併せて提言した。
 
「カンバセーショナルマーケティング活用法〜多くの会場が見逃している5つの集客機会」
安東徳子 氏/(株)エスプレシーボ・コム代表取締役・マリッジライフプランナー

集客や営業成績の向上のために、お金をかけず、今すぐ実行できることを語った安東氏。
冒頭に「集客とは的を選んで道を決め、言葉を知りて武器を持ち、核をとらえて興を打つ」と、
お手製の集客の一首を披露。その中に織り込んだキーワードごとに詳細な分析と解説を
加えていく手法で講演をスタートした。

各キーワードは、
◆「的=ターゲット」
◆「道=メディア」
◆「言葉=エクスプレッション」
◆「武器=ツール(グランドパンフ)」
◆「興=インタレスト」

「的」では、ターゲットの絞り込みの必要性とともに、自社会場のブライダルターゲットを、いくつに
カテゴライズしているのか。大衆から多衆の時代に移っている今、大ざっぱなマーケティングで、
本来複数存在するターゲットを十把ひとからげにする愚を説いた。

安東氏はそのカテゴライズの実例として、セミナー参加者全員に入り口でお茶のキャンディを配るユニークな
手法をとり、
渡す相手、中身の飴、包装紙もターゲットごとにきちんとセグメントしたうえで訴求していくことの
必要性を
分かりやすく解説した。


安東 徳子 氏
また「道」では、専任のメディアコーディネーターの必要性を、「言葉」ではターゲット層が使用する日常の若者言葉について、
顧客語を理解し、適宜コミュニケーション手段に織り込む重要性を指摘。
そのほか、グランドパンフ「武器」が、その機能を十分に果たすよう使用されているか? や、「興」では、適齢期のユーザーの
心を打つためにしなければならないことを語った。

さらに、直接広告費ゼロ、成約率7割の集客方法として、モバイルメディア=人と位置付け、
“人が人に行なうダイレクトマーケティング”の手法を紹介。当日のゲスト、ハウスゲスト、パートナーカンパニー、
カンパニーセールス、エージェントセールスの五つのフェーズに分け、それぞれを十分に稼動させることで、
成約率の高い集客が広告に頼らずに実現できることを紹介した。
 
「創る人と創らせる人が語るリノベーションだけでは集客できない時代」
清野燿聖 氏/清野燿聖事務所 (株)YO 代表 & 杉元崇将 氏/(株)ポジティブドリームパーソンズ 代表取締役
設計にあたっては“売れる婚礼施設”をテーマにしている気鋭のデザイナー・清野燿聖氏と、
成長著しいウエディングプロデュース企業トップの杉元崇将氏がコラボ出演。
清野氏がこの10年、ブライダルビジネス界の設計に携わってきた経験から、
ブライダルマーケットや業態の変遷を解説。
その中で、具体的なビジネスの手法や、マーケット分析などの部分について、杉元氏が
自社で展開する施設を例に挙げながら、詳細な解説を加えるというスタイルで講演が
行なわれた。


清野氏の分析では、マーケット全体ではシュリンク(縮小)しているが、
客単価と初婚年齢の二つが右肩上がり、そして平均ゲスト数と披露宴実施率が下がっている
現状から、集客に伴う難度が上昇しているのは、晩婚化による審美眼の強さと志向の変化
によるものが大きいと指摘。
また、国内73万組のうち、披露宴実施率は64・1%。組当たりの平均単価319万円とすると、
披露宴を実施しなかった約4600億円の内在する需要をいかに掘り起こしていくことができるか
が、今後の課題であるとした。

一方、杉元氏は集客戦略における自社の実践例として、広告予算を売り上げ対比
毎年1%引き上げ、メディアの絞り込みを行なっていること。そして新規接客には現場で
成約率が高いプランナーを起用し、そのプランナーをトレーナーとしてノウハウの水平展開を
行なう、自社と他社のお客さまの見極め、プランナーの業務を新規と打ち合わせに
分担するシステムの採用――などの手法を紹介した。


(左より) 杉元 崇将 氏  清野 燿聖 氏

また、施設設計の段階から館内撮影スポットを想定する「フォーカスポイント重視」の戦略や、案内や説明のプロセスの中で、
ユーザーを決定に持ち込む「決心ポイント重視」の戦略、客単価を上げるためのハードのコンセプトに基づいた商材セールス
「つなぎのポイント」の三つを活用し、それらのソフト戦略をもとにハードを開発していることなどを詳しく解説した。

 
「ネット活用最先端〜新規来館集客の新しい風〜競合激戦区で、雑誌媒体に頼らない集客に挑戦したドキュメント」
柳 信幸 氏/(株)東京BMCサポート代表取締役 & 舘田 智 氏/ジョイジョイ(株)(ぐるなびウエディング)事業統括マネージャー
昨年のトップセミナーでは、料理革命と題した講演が好評だった柳氏。
今年は、集客のためにゲストハウスの支配人時代から続けていた人気婚礼雑誌の研究をやめた、
その理由を冒頭で説明するとともに、神奈川の大磯で小ぢんまりと始めたレストランのホームページを、
ぐるなびウエディングの舘田氏がほんの10分手を加えただけで毎月のアクセス数が3倍に増えた実話を披露。

また徳島県で、人気婚礼雑誌に広告を出さず、ネットを中心にした集客戦術をとる新規開業ホテルが、
わずか3カ月間でホームページ訪問者4425人、80組の新規来館を記録した実例を紹介。
そのうち32組の成約を獲得したことから、「数ヵ月後にオープンの会場で、まだ実物のハード完成前の段階で、
これだけの集客・成約が獲得できるネットをもっともっと活用すべき」と訴えた。

続いて舘田氏は、徳島の会場の集客戦略をケーススタディとして、どのようにネットマーケティングを行ない、
いかにしてプロジェクトを進行させていったかをつぶさに解説。その要所要所で、集客できるホームページに
必要なエッセンスの紹介や、ヤフー、グーグル検索の活用法などを紹介し、セミナー参加者が会社に戻って
すぐに実践できるネット集客法の要点を分かりやすく説明した。
また、“ホームページは24時間稼動するウエディングサロン”と位置付け、集客(サイトへの訪問客獲得)、
接客(サイトの閲覧途中で帰らせない)、成約(来館予約や資料請求までたどり着かせる)という
リアルなサロンでの流れを、そのままホームページでも作るべき、などネット活用に対する考え方にも言及。

ネットは今や雑誌を抜いて第3の広告メディアに成長し、10年前に比べ広告費も100倍に増加しており、
新婦の日常生活中にネットが溶け込んでいる現状がある。しかし中途半端な活用では、効果が上がる以前に
マンパワーの無駄な消耗など、ネットに対する理解不足から起こるさまざまな問題も指摘し、その解決策として、
結婚式場ネットマーケティングのサポーターであるぐるなびウエディングの活用を併せて訴えた。

舘田 智 氏


柳 信幸 氏